2017年12月23日

【入江旧居の二十四節気】冬至

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2017年12月22日は冬至。
一年で最も影が長い日です。
入江泰吉旧居でコーディネーターをつとめるようになって、
窓越し、障子越しの影の変化と美しさに心が止まるようになりました。
窓際まで木々が延びる入江旧居では、茣蓙がひかれた廊下に、座敷の一角に。枝葉の影が差し、そして、風が吹くたびに、影も揺れます。
冬至は一年で最も昼間が短い日。
入江旧居が閉館する5時にはすっかり日が落ち、影も消えてしまいます。
そして、冬至を過ぎると、影は少しずつ短くなる代わりに、昼間が少しずつ長くなっていき、ゆらめく影を愛でる時間もまた少しずつ長くなっていくのです。

   文 倉橋みどり 写真 石井均


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2017年12月07日

【入江旧居の二十四節気】大雪

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2017年12月7日から二十四節気の大雪です。
小雪を「しょうせつ」と読むように、大雪は「おおゆき」ではなく、「たいせつ」と読みます。
奈良市内では初雪はまだのようですが、朝晩の冷え込みがぐっと厳しくなってきました。
入江家ではもともと茶室だった部屋に炬燵が置かれていたそうです。
入江泰吉先生と光枝夫人は炬燵でどんなおしゃべりをなさっていたでしょうか?
先日、入江先生の遺族の方が、入江夫妻のスナップ写真を旧居に持ってきてくださいました。
年を重ねてからも、ご夫婦で寄り添ってポーズをとっておられる一枚、
さりげなく、入江先生が光枝夫人を支えておられる一枚、
見つめ合って笑っておられる一枚……
おふたりが生涯お互いを大切に思っておられたことが確かに伝わってきて、胸が温かくなりました。
旧居に来られた方が、「この家は落ち着きますね」「いつまでもいたくなるようなおうちですね」などとおっしゃることがよくあります。
居心地の良さは、家そのものの造りや、窓から見える景色のせいももちろんあるでしょうが、何よりもご夫妻の幸せな日々の記憶がそこここに漂っているからなのかもしれません。


   文 倉橋みどり 写真 石井均

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2017年11月22日

【入江旧居の二十四節気】小雪

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2017年11月22日は二十四節気の小雪(しょうせつ)。
小雪が舞い始めるころ、という通り、ここのところ急に朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。
「小雪」という言葉をみて思い出すのは、「風花」という季語です。
風に舞う雪のかけらのことを、こんなに美しく呼ぶなんてすてきだなあと思います。
美しい言葉ですから、私も毎年一句詠みたくなりますし、ほかの俳人たちもたくさんの俳句を作ってきました。
その中で異色とも言えるのが坪内捻典さんのこの句です。

風鬼元風紀係よ風花す

風鬼(ふうき)とは風の神様のことであり、仏教用語では、人の心を動揺させるものを風に例え、鬼に例えてこう呼ぶそうです。
今はもう風の神となった元風紀係というのですから、その人はもうこの世の存在ではないでしょうか。
風紀委員をしていた彼か彼女を思い出す作者は風花に包まれています。
もしかしたらその人は作者の初恋の相手なのかもしれませんね。
風花に包まれるとき、ふと時空がねじれるような気持ちになることがあるのは私だけでしょうか。
過去と今とが一瞬交錯する感覚。
ご生前は一度もお会いすることが叶わなかった入江先生や光枝夫人が門をくぐって入っていったような・・・
そんな幻に逢えるのも、風花舞う日の水門町の夕暮れ時です。



   文 倉橋みどり 写真 石井均


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