2017年07月23日

【入江旧居の二十四節気】大暑

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2017年7月23日は大暑。大暑は夏の最後を飾る節気です。
梅雨明けの青空には大きな大きな入道雲。
入江旧居を訪れる方も汗びっしょりです。
打ち水をした玄関で靴を脱ぎ、入館受付を済ませるまでは、
みなさん汗を拭き拭きで、顔も真っ赤・・・。
冷房のよく効いた応接間へお通りいただいたとたん、みなさん、ほっとした顔になられます。
案内よりも何よりも「まずは一息ついてくださいね」とお声をかけるのですが、そんなときに喜ばれるのが、テーブルの上の団扇。
最近は、夏祭や花火大会で重宝することはあっても、団扇はあまり家の中では使われなくなっているのでしょうか。
懐かしそうな顔をされる方も少なくありません。
ゆっくり館内を見ていただきながら、ひととき涼んでもらって・・・。
「また、ぜひ。今度は紅葉したころに・・・」とお見送りするとき、玄関の軒に吊った風鈴がチリンと鳴ってくれると、ちょっとうれしくなったります。
打ち水、風鈴、団扇・・・日本の方にも外国の方にも、少しだけ昔の、ほんのり懐かしい暮らしぶりも、入江旧居で感じていただけたら・・・と思います。


   文 倉橋みどり  写真 石井 均
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2017年07月07日

【入江旧居の二十四節気】小暑

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2017年7月7日は二十四節気の小暑です。
去年の、同じ節気の文章を読み直すと、
「これで小暑とは・・・」と暑さを嘆いています。
やはり去年も同じように暑かったのでしょうが、もうすっかり忘れて、気付くと「今年は特別に暑い・・・」などと口にしています。
夏の暑さ、とりわけ湿気をたっぷり含んだこの頃の暑さは身にこたえます。
私の仕事場から入江泰吉旧居までは自転車で5分少々。
途中、庭から木がせり出すように伸びている、木陰の道があります。
どんなに暑い日も、薄暗いその場所を通るときには、すっと汗が引いていきます。
「木下闇」(こしたやみ)という季語そのものの場所だなあ、といつも思います。
先日、俳句の講座で「木下闇」の句を紹介すると、ある生徒さんが、「木の下が暗くなるのは夏だけに限ったことでもないのに、夏の季語なんですねえ」と不思議そうな顔をされました。
たしかに木陰は一年中あります。
でも、夏は日差しがきつい分、闇がもっとも深くなります。
だから夏の季語になっているのに違いありません。
入江旧居の庭にもまた木下闇の道があります。
夏にとりわけ深くなる闇は、ミステリアスなだけでなく、ひととき暑さを忘れさせてくれるやさしい闇です。


   文 倉橋みどり  写真 石井均
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2017年06月21日

【入江旧居の二十四節気】夏至

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2017年6月21日は夏至。
一年でもっとも昼が長い日です。
入江泰吉先生のお宅には多くの方々が訪れたといいます。
旧居のガイドツアーでも、確実に訪れた著名人として、文豪・志賀直哉、武者小路実篤、司馬遼太郎、亀井勝一郎、白洲正子・・・という名前を挙げると、ほとんどの人が「へえ・・・・」と目を丸くされます。
また、「実は昔、ここ(入江先生のお宅)に来たことがあるんですよ」と大切な思い出を教えてくださる方も少なくありません。
入江先生に面識のある方に連れてきてもらったという方、
写真集にサインをもらいにきたら、入江先生直々に応接間に招かれ、目の前でサインをしていただいたという方、
撮影中の入江先生とお話が弾み、「一度家に来ませんか」と誘われ、社交辞令と思いつつもおじゃまし、何時間もおしゃべりに付き合ってもらったという方・・・。

先日、最初はその方のお父様の仕事の関係で入江先生とお知り合いになり、お亡くなりになるまで親しく接していただいた・・・という女性と出会いました。
「今にも先生や奥様が、よく来たねと出てこられそうで・・・」と涙ぐみながら、
「先生はなんでもご存じのはずなのに、子どもほど若い私の話をいつも熱心に聞いてくださいました」と教えてくださいました。
晩年の先生の著書には「まだまだ挑戦したいことがある」といった意味の言葉が並んでいます。
決して偉そうになどせず、年若い方々との会話を心から楽しんでおられた入江先生の表情が、目に浮かびます。

夏至の日の朝より若き人来り

村越化石という俳人の、喜びに満ちた一句を思い出しています。


   文 倉橋みどり 写真 石井均
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