2018年02月19日

【入江旧居の二十四節気】雨水

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2018年2月19日からは二十四節気の雨水。
水ぬるむころです。
日差しが日ごとに、確実に明るくなってきました。
毎年この時期になると、3月1日に本行に入る東大寺二月堂修二会の話題が増えてきます。
練行衆の方々が別火を過ぎす戒壇堂のあたりはどこかそわそわとした雰囲気になり、
二月堂のすぐ下には、松明に使う、青々とした竹が立てかけられています。
入江泰吉先生は何年も何年もこの修二会に通い、貴重で数多くの作品を残してくださいました。
東大寺の修二会は、深く長く携わった方ほど、
「まだまだわからないことだらけや」と口を揃えておっしゃいます。
きっと、入江先生もきっとお亡くなりになるまでそう感じておられたのではないでしょうか。
本棚の、それぞれ別の場所に収まっている『東大寺修二会の構成と所作』の三巻と別巻の四冊の背表紙を見るたび、そう思うのです。


   文 倉橋みどり 写真 石井均
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2018年02月05日

【入江旧居の二十四節気】立春

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2018年2月4日は立春。
この日から春です。
まだ寒さは続きそうですが、れっきとした春。
少しずつ少しずつ、風も水も温みを増していきます。
立春の日の入江泰吉旧居は、北側の玄関、西側の道路に面した事務所スペースは、暖房をかけていても、足元から冷えが上ってくるよう。でも、庭に面した大きな窓から差し込む日差しは明るく、たしかに春を感じさせるものでした。
「きれいですね」という来館者の声の先に、真っ赤な椿が一輪。
入江先生が植えられたという庭の椿の開花が、今年は少し遅れていたのです。
実は、入江旧居の庭の大木の枝の伐採が遅れ、通行禁止にせざるを得なかった庭が、ようやく元のように散策できるようになったのは先週末のこと。
椿はまるでそれを待ってくれていたよう。
これから、赤、ピンク、白……と次々に開き、私たちの眼を楽しませてくれると思います。


   文 倉橋みどり 写真 石井均


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2018年01月20日

【入江旧居の二十四節気】大寒

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2018年1月20日から2月3日は二十四節気の大寒です。
冬の最後の節気で、七十二候は20日から款冬華(ふきのはな さく)、25日から水沢腹堅(さわみず こおりつめる)、30日からが鶏始乳(にわとり はじめて とやにつく) となります。
小寒、大寒の期間を寒の内とも寒中ともいいます。
寒といえば、連想するのは、剣道をしていたころの寒稽古のこと。
小学校から高校生まで続けた剣道では、年中はだしで、校庭を走ったりしていました。
粉雪が舞うなかで素振りをしたことも・・・。
入江泰吉先生も、自伝的エッセイ『大和しうるわし』などに、小学五年生のころ、剣道の朝稽古に通ったとあります。
「剣道には寒稽古や土用稽古がつきものだが、朝五時からの寒稽古に、奈良公園を通り抜けていくのは、考えただけで恐ろしかった」。
その理由は、当時の奈良ホテルに近いあたりは、実に寂しいところで、さらに「父が夕食のあと、私たち兄弟を前にしてよく化け物の話をしていたので、その話が浮かんでくる。しかもそうした怪談の舞台が、奈良ホテルの近くのお寺だったりする」からでした。
 髪を振り乱した老婆に化け、棺桶を背負ってあらわれる狐、一ツ目小僧に化けた狸は「怖いもんか。怖いもんか」と怒鳴ると、「これでもか。これでもか」と体を膨らませていき、最後には風船玉のようにパーンと破裂する・・・など。確かにこれは大人でも怖い・・・。
しぶる泰吉少年に、母上が「せっかくはじめた剣道なのだから、ぜひ行きなさい。そのかわり寒稽古の期間中は毎朝学校まで送ってあげるから」とおっしゃって、そのおかげで、15日間の寒稽古を皆勤できたそうです。
エピソード自体もほほえましいものですが、何より、すっかり大御所になってからの入江先生が、なつかしそうに狐狸の話、お母様の優しさを思い出し、こんなに生き生きと文章にされたたと思うと、心が温かくなってくるのです。

  文 倉橋みどり  写真 石井均
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