2017年08月07日

【入江旧居の二十四節気】立秋

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2017年8月7日は二十四節気の立秋。
今日から秋です。
最近出会った俳句に、

 立秋の遠くが遠く見ゆるなり   中原幸子

があります。
秋が立つ日は、「遠く」がちゃんと「遠く」に見える日だというのです。
この感覚、わかる気がしませんか。
まだまだ暑い日は続きますが、それでも今日から秋。
少しずつ少しずつ暑さは弱まり、空の雲も軽やかになっていくでしょう。
とくに秋の風は、古来「色なき風」とも呼ばれるほど透き通って感じられるものです。
こころにも少しずつ余裕が生まれ、足元だけでなく、遠くを見たくなる秋。
それはもちろん空間的なことだけではなく、時間的にも心理的にも、だと思うのです。

先日、入江先生の没後25年を機に、奈良市主催のフォーラムが行われたのですが、
入江先生の写真は、私達を1300年以上も前の古代へと一瞬にして連れていってくれる力を持っているのだという発言がありました。

入江先生は、
深い教養と、深い奈良への思いで、
レンズを通し、
ときにははるか遠くの古代を旅し、
また、はるか未来も見つめておられたのかも・・・。

入江旧居を包み込むように鳴き始めた蜩(ひぐらし)の声を聴いていると、
ふとそんな思いにかられます。


  文 倉橋みどり 写真 石井 均

posted by アルカからのお知らせ at 16:55| Comment(0) | 入江旧居

2017年07月23日

【入江旧居の二十四節気】大暑

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2017年7月23日は大暑。大暑は夏の最後を飾る節気です。
梅雨明けの青空には大きな大きな入道雲。
入江旧居を訪れる方も汗びっしょりです。
打ち水をした玄関で靴を脱ぎ、入館受付を済ませるまでは、
みなさん汗を拭き拭きで、顔も真っ赤・・・。
冷房のよく効いた応接間へお通りいただいたとたん、みなさん、ほっとした顔になられます。
案内よりも何よりも「まずは一息ついてくださいね」とお声をかけるのですが、そんなときに喜ばれるのが、テーブルの上の団扇。
最近は、夏祭や花火大会で重宝することはあっても、団扇はあまり家の中では使われなくなっているのでしょうか。
懐かしそうな顔をされる方も少なくありません。
ゆっくり館内を見ていただきながら、ひととき涼んでもらって・・・。
「また、ぜひ。今度は紅葉したころに・・・」とお見送りするとき、玄関の軒に吊った風鈴がチリンと鳴ってくれると、ちょっとうれしくなったります。
打ち水、風鈴、団扇・・・日本の方にも外国の方にも、少しだけ昔の、ほんのり懐かしい暮らしぶりも、入江旧居で感じていただけたら・・・と思います。


   文 倉橋みどり  写真 石井 均
posted by アルカからのお知らせ at 22:02| Comment(0) | 入江旧居

2017年07月07日

【入江旧居の二十四節気】小暑

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2017年7月7日は二十四節気の小暑です。
去年の、同じ節気の文章を読み直すと、
「これで小暑とは・・・」と暑さを嘆いています。
やはり去年も同じように暑かったのでしょうが、もうすっかり忘れて、気付くと「今年は特別に暑い・・・」などと口にしています。
夏の暑さ、とりわけ湿気をたっぷり含んだこの頃の暑さは身にこたえます。
私の仕事場から入江泰吉旧居までは自転車で5分少々。
途中、庭から木がせり出すように伸びている、木陰の道があります。
どんなに暑い日も、薄暗いその場所を通るときには、すっと汗が引いていきます。
「木下闇」(こしたやみ)という季語そのものの場所だなあ、といつも思います。
先日、俳句の講座で「木下闇」の句を紹介すると、ある生徒さんが、「木の下が暗くなるのは夏だけに限ったことでもないのに、夏の季語なんですねえ」と不思議そうな顔をされました。
たしかに木陰は一年中あります。
でも、夏は日差しがきつい分、闇がもっとも深くなります。
だから夏の季語になっているのに違いありません。
入江旧居の庭にもまた木下闇の道があります。
夏にとりわけ深くなる闇は、ミステリアスなだけでなく、ひととき暑さを忘れさせてくれるやさしい闇です。


   文 倉橋みどり  写真 石井均
posted by アルカからのお知らせ at 21:10| Comment(0) | 入江旧居