2018年06月06日

【入江旧居の二十四節気】芒種

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2018年6月6日から、二十四節気の芒種となります。
禾あるもの、つまり穀物を植えるころという意味だそうです。

今日近畿は梅雨入りし、奈良は雨の一日となりました。
雨の日は出かけるのがおっくうになりますが、今日の私の予定は講座の下見。近鉄奈良駅から、水門町の入江旧居を抜け、東大寺大仏殿まで歩きました。靴が汚れないように歩く私たち人間とは対照的に、そこここで出会う鹿たちは、みんなとても元気で、時折体をぶるぶるっと震わせて雨粒を払いながら、傘をさす私たちに鹿せんべいをねだってきたり、整列して悠々と横断歩道を渡ったり……。
このころの雨は植物たちにとっては恵みの雨。一雨ごとに、目に見えて成長していきますが、動物たちにとっても、このころの雨というのは、英気を養ってくれるものなのでしょう。
雨の日の撮影がお好きだった入江泰吉先生には、「今ごろそんなことに気づいたの?」と失笑されそうですが、それほどに今日出会った鹿たちは揃って、美しい夏毛に着替え、生き生きとした瞳をしていたのでした。

   文 倉橋みどり 写真 石井均


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2017年12月07日

【入江旧居の二十四節気】大雪

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2017年12月7日から二十四節気の大雪です。
小雪を「しょうせつ」と読むように、大雪は「おおゆき」ではなく、「たいせつ」と読みます。
奈良市内では初雪はまだのようですが、朝晩の冷え込みがぐっと厳しくなってきました。
入江家ではもともと茶室だった部屋に炬燵が置かれていたそうです。
入江泰吉先生と光枝夫人は炬燵でどんなおしゃべりをなさっていたでしょうか?
先日、入江先生の遺族の方が、入江夫妻のスナップ写真を旧居に持ってきてくださいました。
年を重ねてからも、ご夫婦で寄り添ってポーズをとっておられる一枚、
さりげなく、入江先生が光枝夫人を支えておられる一枚、
見つめ合って笑っておられる一枚……
おふたりが生涯お互いを大切に思っておられたことが確かに伝わってきて、胸が温かくなりました。
旧居に来られた方が、「この家は落ち着きますね」「いつまでもいたくなるようなおうちですね」などとおっしゃることがよくあります。
居心地の良さは、家そのものの造りや、窓から見える景色のせいももちろんあるでしょうが、何よりもご夫妻の幸せな日々の記憶がそこここに漂っているからなのかもしれません。


   文 倉橋みどり 写真 石井均

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2017年11月08日

【入江旧居の二十四節気】立冬

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2017年11月7日は二十四節気の立冬。
冬が始まりました。
入江泰吉旧居の道路に面した垣根は山茶花で、真っ白な花をいくつも咲かせてくれます。今年は少し早い、10月の終わりから一輪、また一輪…と咲き始めました。
旧居は、東大寺戒壇堂と吉城園・依水園というふたつの庭園をつなぐ道路に面していて、いろいろな方が通って行かれます。
先日も、観光客と思しき初老のご夫妻が山茶花に足を止めておられました。
「白い山茶花っていうのもいいものだねえ」
「そうですね。うちのはピンクですものねえ」
「あれもなかなかのものだと思っていたが、こうしてみると、白もよく思えてくるなあ…」
「それにしても、きれいですねえ」
聞くともなく聞こえてきた穏やかな言葉のやり取りに、まるで自分がほめられように心がじわりと温かくなりました。
旧居の一般公開が始まって三度目の冬。
いろいろな出会いがここで生まれ続けています。
先週の日曜日。一枝を切り、入江先生の写真の前に生けました。モノクロ―ムの笑顔に、山茶花の白がひときわ冴えて見えました。

   文 倉橋みどり 写真 石井均
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