2016年09月07日

【入江旧居の二十四節気】白露

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 2016年9月7日からは二十四節気の白露。朝露が白く光って見える頃という意味です。
 まだ汗ばむ日も多いのですが、朝晩は確かにしのぎやすくなりました。
 露は朝だけに見られるもので、昔からはかないものの―例えば恋や幸せなど―の象徴です。
 朝早く、通勤ルートを歩いていると、足元の草の葉の一枚一枚にびっしりと露が付いていることがあります。
 ひとつひとつが丸く輝いて、何度出会っても、心から美しいと思います。
 入江泰吉先生は、お弟子さんによると早起きが苦手でいらっしゃったとか。
 「ふだんは朝9時頃にお宅に来ればよかった。玄関を入っていくと、先生は奥様とちょうど朝ごはんを食べ終わったところ・・・ということが多かったですね」と聞きましたので、けっして朝寝坊ではなく、きっとこの時期、朝の日課だった庭掃除をしながら、白露に心を留められたこともあったと思います。
 ところで、入江旧居には、ご夫妻がいつも朝食やお茶を召し上がっていたという小さなテーブルと二脚の椅子が残っています。
 焦げ茶色の木製で、松本民芸家具を思わせるモダンなデザイン。庭や川が見える廊下に置いておられました。
亀井勝一郎氏(『大和古寺風物誌』の著者で評論家)がこの椅子に腰掛けている写真も残っていますから、入江家を訪れたはずの上司海雲師や、白洲正子氏も、あるいはこの椅子に座ったかもしれません。見れば見るほどすてきなデザインで、旧居にびったりの色合いで、たぶん、きっとあの人も、あの人も・・・・・・と思わずにはいられません。
 残念ながら少々脚がぐらついていて、来館された方に、椅子に腰掛けていただくことはできません。
 いつか腕の良い家具職人さんとのご縁があって、みなさんに座っていただけるように修理できる日がくるといいのに・・・と密かな願いを抱いています。


   文・倉橋みどり 写真・石井均
posted by アルカからのお知らせ at 00:34| Comment(0) | 入江旧居
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