2016年03月05日

【入江旧居の二十四節気】啓蟄

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 2016年3月5日
 この日は二十四節気の啓蟄です。春の陽気に誘われ、地中に潜んでいた虫も這い出してくるころという意味です。
 この文章を書いているのは啓蟄の前日の4日なのですが、確かに一日温かく過ごしやすい一日でした。夕方から東大寺修二会にお参りにいきましたが、急ぎ足で裏参道を歩いているとうっすらと汗ばむほどでした。
 入江先生も毎年のように撮影に通っておられた東大寺修二会。奈良は東大寺のお水取りが終わらないと(本当の)春が来ないと言いますが、今年はもう馬酔木も花盛り・・・。
寒くても行はつらいものだけど、気温が高いともっと辛くなる・・・とお坊様からうかがったことがあり、練行衆のみなさんの体調が心配になるほどです。
 さて、一般公開されて一年がたった入江旧居には一万人を超える方が来館され、ガイドとして、いろいろな方をご案内してきましたが、みなさんが特に興味を示されるのは、光枝夫人の筆で「いろはうた」が書かれた屏風です。
 流れるようでいて、力強さも感じる書は、私自身も何度見ても「いいなあ」と思いますし、来館者の方も「奥様もすばらしい方だったんですね」と感心されます。
 旧居を案内していると、いつも光枝夫人のことが思われます。生前におつきあいのあった方からは、「光枝さんはハスキーボイス。関西弁ではなかった」「日本人離れした彫りの深い美人だった」などと聞いていますが、入江先生ほど多くのデータが伝わっているはずもありません。
 私自身もたった一度だけお電話で声を聞いたことがあるのですが、どんなお声だったかは思い出せません。でも、きりっとしたお話ぶりだったような記憶がかすかにあります。
 なにせ仕事とはいえ、唐突に「入江先生がお亡くなりになったのは何年でしたか」と尋ねた私に戸惑いもせず、「1992年でございます」と応えてくださったのですから。
 でも、エッセイなどを読んでも凛とした女性だったのは間違いない光枝夫人。そんな光枝夫人もときには東大寺修二会にお参りされたことがあったでしょうか。それとも冷え切った体で帰宅する入江先生を暖かいお夜食でも準備しながら待っておられるのが常だったのでしょうか。
 温かい夜とはいえ、聴聞するうちに少しずつ少しずつ体じゅうに冷えが回ってくる二月堂の局に座っているうちに、今夜も何とはなく光枝夫人のことを思い出していました。
 
    文・倉橋みどり 写真・石井均
posted by アルカからのお知らせ at 00:14| Comment(1) | 入江旧居
この記事へのコメント
本行も5日目 足早に過ぎ去っていくようです。
この時期 ジッとしていられず二月堂へ足が向いてしまいます 
今年は事情があって控えていますが気になって皆さんのブログや
Facebookを尋ねています。
入江先生や奥様、そして佐藤先生、倉橋さんにもお目に
掛かれるような気になりながら。ー啓蟄の翌日にー

Posted by souu at 2016年03月05日 16:53
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