2018年08月23日

【入江旧居の二十四節気】処暑

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2018年8月23日からは二十四節気の処暑。
こんな一句があります。

藍の香の処暑の作務衣となりにけり   水原春郎

秋に入ったというのに、今年はまだしばらくは厳しい暑さが収まりそうにありません。
じっとりと汗ばむ日の実感がこもった一句に、ふっと剣道の部室のにおいがよみがえってきました。
昼間の暑い最中に稽古があって、毎日汗びっしょりになっていた夏休み。
そういえば、入江泰吉先生も幼いころは剣道の稽古に通っておられたそうです。
腹の底から声を出し、竹刀を振った後、面を外したときの、なんともいえない涼しさ。
最後に正座をし、しばし瞑想をするときの独特の穏やかさもなつかしく、
入江少年も経験したに違いないと思うと、また特別な思いにかられます。
そして、テレビ番組で見た、鏡池あたりから手向山八幡宮までの上り坂を、息もきらさず、颯爽と歩いている晩年の入江先生の姿も浮かんできます。
先生の胴着は、いったい何色だったのでしょうか。

   文 倉橋みどり 写真 石井均
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2018年08月08日

【入江旧居の二十四節気】立秋

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2018年8月7日は立秋。
酷暑はまだ続きそうですが、それでもやはり立秋の朝晩はほんの少しだけ涼しくなりました。
さて、私の好きな秋の季語に「秋の声」があります。
秋の静けさを感じさせる風の音、雨の音、木々のそよび、街を行きかう人の声声……。
静かにする、というのではなく、自然と穏やかになるという感じでしょうか。
感覚的な季語ですが、この言葉を知ると、たしかに「秋の声」というのはあるなあと思います。
季語の本意からは少し離れますが、個性豊かな人の声も春夏秋冬に分類できるような気がします。
温かく穏やかな話しぶりの方は「春の声」、エネルギッシュにテンポよく話す方は「夏の声」、春と同じように穏やかだけど知性を感じさせる「秋の声」、「冬の声」は低めで頼りがいのある声、という具合に。
生前お逢いすることがかなわなかった入江泰吉先生の声は、
テレビ番組やラジオ番組の録画録音でしか聞いたことがありませんが、
物静かで、ゆったりとしているけど、どこか引き締まったテンポでお話される声はまさに「秋の声」です。
一度でいいからお話をうかがってみたかった、と今さらながら悔しい気持ちにまた襲われています。

   文 倉橋みどり 写真 石井均

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