2017年06月21日

【入江旧居の二十四節気】夏至

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2017年6月21日は夏至。
一年でもっとも昼が長い日です。
入江泰吉先生のお宅には多くの方々が訪れたといいます。
旧居のガイドツアーでも、確実に訪れた著名人として、文豪・志賀直哉、武者小路実篤、司馬遼太郎、亀井勝一郎、白洲正子・・・という名前を挙げると、ほとんどの人が「へえ・・・・」と目を丸くされます。
また、「実は昔、ここ(入江先生のお宅)に来たことがあるんですよ」と大切な思い出を教えてくださる方も少なくありません。
入江先生に面識のある方に連れてきてもらったという方、
写真集にサインをもらいにきたら、入江先生直々に応接間に招かれ、目の前でサインをしていただいたという方、
撮影中の入江先生とお話が弾み、「一度家に来ませんか」と誘われ、社交辞令と思いつつもおじゃまし、何時間もおしゃべりに付き合ってもらったという方・・・。

先日、最初はその方のお父様の仕事の関係で入江先生とお知り合いになり、お亡くなりになるまで親しく接していただいた・・・という女性と出会いました。
「今にも先生や奥様が、よく来たねと出てこられそうで・・・」と涙ぐみながら、
「先生はなんでもご存じのはずなのに、子どもほど若い私の話をいつも熱心に聞いてくださいました」と教えてくださいました。
晩年の先生の著書には「まだまだ挑戦したいことがある」といった意味の言葉が並んでいます。
決して偉そうになどせず、年若い方々との会話を心から楽しんでおられた入江先生の表情が、目に浮かびます。

夏至の日の朝より若き人来り

村越化石という俳人の、喜びに満ちた一句を思い出しています。


   文 倉橋みどり 写真 石井均
posted by アルカからのお知らせ at 10:30| Comment(0) | 入江旧居

2017年06月06日

【入江旧居の二十四節気】芒種

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2017年6月5日は二十四節気の芒種です。
「暦便覧」という書物には「芒ある穀類、稼種する時也」とあります。
穂先のかたい毛のことを「芒(のぎ)」といい、その芒がある穀類の種を蒔く頃という意味の節気です。
具体的にいえば、米ということになるでしょうか。
実際にはもう種を蒔く時期は過ぎ、田植えの季節です。
そういえば入江先生の作品にも早苗が揺れる水田が印象的なものがあります。
「飛鳥八釣の里」というタイトルのその作品は、田んぼには大きな夕日が映り込んでいます。大和路の情景を撮った作品のほとんどがそうであるように、この作品にも人の姿はありません。
それなのに、なぜか人の気配を感じます。
ずっと人がいないわけではなく、さっきまで確かに誰かがいたような温かさが伝わってくるのです。
入江先生は、古代の人々に思いをはせながら、目の前に広がる風景がイメージ通りの美を得るまで、じっくりと時を待ったと聞きます。
きっと「飛鳥八釣の里」もそうだったことでしょう。
画面に漂う人の気配は、同時代の人でもあり、また万葉の時代の人のものでもあるのかもしれません。


   文 倉橋みどり 写真 石井均
posted by アルカからのお知らせ at 08:32| Comment(0) | 入江旧居