2018年11月08日

【入江旧居の二十四節気】立冬

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2018年11月7日は立冬。

写真家・入江泰吉が暮らした家の障子は、端正で美しい。
寒くなるにつれ、やわらかくなっていく日差しを浴びると、いっそう美しく見え、障子が冬の季語であることを改めて実感できる。

旧居にこられる外国人観光客は、障子よりも畳をほめる。
先日は、「ぜひ畳を買って帰りたい。どこに行ったら買えるのか」と言い出した。
障子はそれほど目にとまってないようだが、
障子があるおかげで、どれほど室内が明るく清々しい雰囲気になっていることか・・・。
晴れの日も、雨の日も、
よく冷える日も、小春日和の日もーー。

人が実際に暮らしていないせいで、開館以来4度目の冬をむかえたが、まだ貼り替えるほど傷んでいないし、汚れてもいない。
それでも
いつかは旧居の障子の貼り替えをできたら・・・
そんな小さな夢を抱いている。

   文・倉橋みどり/写真・石井 均
posted by アルカからのお知らせ at 12:55| Comment(0) | 入江旧居

2018年10月23日

【入江旧居の二十四節気】霜降

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2018年10月23日からは二十四節気の霜降です。
朝晩は、ひんやりとした空気に満たされるようになりました。
入江旧居の庭には、小さな石仏があって、
それは、先生ご夫妻の愛犬のお墓だと聞きました。

さて、昨日、私も小さな亡骸を葬りました。
ときおり仕事場にもやってきていた野良猫が、
駐車場で冷たくなっていました。
目だった傷はなく、
最初は眠っているのかと思ったほど穏やかな顔でした。
飼っていたわけでないけれど、
どうしても見過ごすことができなくて、
仕事場の庭の片隅に葬ったのでした。
今日は朝から雨。
あっけないほどかんたんに、
こちらから、あちらの世界へといってしまったいのちを
そっと見守るような
静かな、静かな秋の雨。

入江旧居の石仏もまた、濡れています。

   文 倉橋みどり 写真 石井均
posted by アルカからのお知らせ at 23:11| Comment(0) | 入江旧居

2018年10月08日

【入江旧居の二十四節気】寒露

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2018年10月8日は二十四節気の寒露。
寒露とは思えないほどの青空と汗ばむほどの陽気です。
昨日7日からは、興福寺中金堂の落慶法要が行われています。1717年の焼失以来、ようやく再建かなった中金堂が姿をあらわしました。
入江泰吉先生は、大好きだったという阿修羅像をはじめ、興福寺の寺宝や堂塔を多く作品に残しておられます。

滅びゆく美を追い求めた入江先生ですが、時代によって変わりゆくものに対しては寛容なところもあったような気がします。
旧居の来館者からうかがった話です。
ある場所にマンション建設の計画が持ち上がったとき、歴史的な景観を守りたいと、反対する方々が入江先生に協力を求めにきたそうです。
そのとき、先生は「変わってゆくものは仕方ない」と静かにおっしゃったとか。
もちろんこのエピソードだけで、先生の「思い」を想像することなどできないのですが……。

もしも入江先生がご存命で、出来上がった中金堂をごらんになったらなんとおっしゃったでしょうか。

輝く真新しい鴟尾を仰ぎながら、浮かんでくるのは、
やはり、入江先生の穏やかな笑い顔なのです。



   文 倉橋みどり 写真 石井均


posted by アルカからのお知らせ at 23:52| Comment(2) | 入江旧居